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牛革
あらゆる皮革の中で、最も用途の多いのは牛革です。わが国でも、牛革による皮革製品が各種にわたりつくられていますが、原皮そのものは、85%以上を海外からの輸入に頼っています。原皮には、産地、性別、年齢によって品質にかなりの差があり、つぎのように分けられます。
◆カーフ
生後約6ヶ月以内のもので牛皮中のトップクラスです。小判薄手で、キメの細かいのが特長です。
◆キップ
生後半年以後から1年余りまでのもので、カーフより厚手になり、強さも増します。カーフにつぐ高級皮。
◆カウ
生後2年以上のメスの成牛の皮。(未産の場合はカルビンと呼びキメ細やか)ステア、ブルほどの厚みはありません。
◆ステア
生後3~6ヶ月以内に去勢したオスで、生後2年以上を経ったものの皮。厚みが比較的平均的です。
◆ブル
生後3年以上のオスの成牛の皮。厚手になり、繊維組織のあらさが目だちます。
◆地生(ヂナマ)
国内産の牛は、生皮のままで取り引きされたところから、地生と呼ばれます。
一頭分の大きさは北米産とほぼ同じですが、海外のものよりも、銀面に傷がなく、綺麗です。
山羊革・羊革
衣服、手袋などに用いられます。特に子山羊の革はキッドと呼ばれ高級靴、高級婦人手袋に多く用いられます。薄く、柔らかで、主に衣類、手袋に用いられるほか、書籍の装丁にも使用されます。
中でもインド産羊皮は、その革の優秀性が世界的に認められています。
馬革
馬革の尻の部分は組織が緻密で光沢の美しい革ができるので、特にコードバンと称して珍重され靴、ベルト、時計バンドなどに使用されます。その他の部位は靴の裏革などが主な用途です。
カンガルー革
カーフより上等、しかも丈夫でしなやかです。のびて変形しないため、ごく高級な靴、スパイクシューズに使用されます。
鹿革
鹿の皮を動植物油で鞣した皮は、柔らかくしなやかでセーム皮と称しています。航空機用ガソリンこし、ガラスふき、高級手袋、帽子、衣服などが主な用途です。
ビッグスキン豚革
牛皮についで利用範囲が広く、カバン、袋物、ベルトをはじめ、靴の甲裏革や敷革に用いられます。海外では珍重され、最近では多量に輸出されています。
爬虫類革
ワニ、トカゲ、ヘビの3種が主なもの。いずれも革の模様が珍重されます。高級袋物、ベルト、時計バンド、靴、草履がその用途です。
使えば使い込むほどにその持ち手に馴染みまた味わいの増す皮革製品。
革は革でもその種類、製法で全く違う顔を持ち、その使われ方も様々です。
ここではまず基本的な皮革の行程を通して眺めてみましょう。
一軒の業者が全ての行程を担当するのではなく、それぞれの行程を受け持つ業者が集まり、地域一帯となって製品が生まれていきます。
1.原皮の水洗い
原皮に付着している汚物を取り除きます。使用後の水は処理がなされてから綺麗な水に戻り外へと流されます。
2.石灰漬で毛抜き
石灰に浸し皮を膨らませ毛を毛根から抜き取ります。
毛が抜かれた面を銀面といい、皮の表面となります。
3.フレッシング
皮の表面に付いている不要物を更に取り除き、靴用、鞄用、衣類用などその用途に合わせて皮の厚みを分割します。
4.スプリッティング&背割り
分割機を用いて皮を所定の厚みにし、銀面と肉面側の二つに分割、同時に一頭分の大きな皮を背筋を中心に半分に切り分けます。
5.鞣し
革に柔らかいと書く「鞣し(なめし)」クロム鞣し、タンニン鞣しなどの方法で革を柔らかくし、更に耐久性を持たせます。
6.シェービング
シェービングマシンで革の肉面を削り、一定の厚さに調節します。
7.染色・加脂
染料を使い革を注文通りの色に染めます。また精製生油や合成樹脂を用いて、革に柔軟性も持たせるよう加脂を行います。
8.乾燥
釘張り、ガラス張りなどが以前には使われていましたが、上記のサミング・セッティングマシンを用いこの行程で80%の水分を飛ばし乾燥工程に入ります。
9.塗装(表面加工)
手塗り、スプレー、カーテンコーター等で着色します。上の写真はその塗料を配合しているスタッフの写真です。
10.検品
外観に美しさや艶、耐久性を持たせるように銀面に塗料などを塗布、乾燥させます。
11.出荷
厳重なる検品後、発送。靴や鞄、衣類、手袋などの製品製造企業へと向かっての旅立ちです。